応力について

 

本ページの内容をまとめなおしたものが、「実践有限要素法シミュレーション」の書籍の付録に掲載されています。

PDFを貼っておきます。その他、厳密な定義、応力分布の理解の仕方なども掲載されていますので、興味のある人は購入してください。

 

引張応力・圧縮応力・せん断応力・主応力など、材料力学の基礎の基礎について理解出来ていない人が結構いるように思います。実は、本来、応力とはテンソル量であるため結構難しい概念です(テンソルは大学院の講義で学習すると思います)。理解できないのはある程度仕方がないことかもしれませんが、通常材料力学で使う範囲においては、テンソルの概念など知らなくても大丈夫で、変形を直観的に捉えるセンスがあれば良いと思います。以下に、引張応力・圧縮応力・せん断応力・主応力を直感的に捉えた例を示します。応力解析において最も必要なのは、出てきた応力分布の解釈であるため、「応力」の概念をしっかりと理解して下さい。

 

一様応力場における考え方

まずは一様応力場における考え方を示します。これが一番理解しやすいと思います。

○引張応力

これは、ほとんどの人が直観的にわかると思います。ゴムを伸ばしたときのような変形をさせた時に発生する応力です。応力は単位面積あたりの力なので、値は断面積に垂直に加えた力Fを断面積Aで割ってやれば出てきます(σ=F/A)。ちなみに、縦方向に引張応力が発生しますが、横方向は何も力が働いていないで、応力はゼロになります。

 

 

○圧縮応力

これも、わかると思いますが引張の逆です。堅いボールをぐっと圧縮したときに発生する応力です。値の求め方は引張の場合と同じですが、符号がマイナスに変化します。引っ張りと同じく横方向の応力成分はゼロです。

 

 

○せん断応力

せん断応力は少し難しくなります。あいまいな言葉だと「物体を斜めに変形させるときに発生する応力」です。これは具体的にどうするかと言うと、引張・圧縮では必ず面に対して垂直に力をかけていましたが、今度は面に平行に力を加えます。そうすると以下のような変形をするはずです。この時発生する応力をせん断応力と呼び、その値は引張応力と同じで、断面積に平行に加えた力を断面積で割ります。

 

○主応力

上のせん断応力の変形図を見るとひし形のような形になっていると思います。これを45°傾けると以下のようになります。

 

このような変形は下の図のように上下を圧縮し、左右に引張をしても得ることができます。

つまり、せん断応力というのは、座標軸を回転させれば、圧縮応力・引張応力で表現することが可能です(逆も可能)。各位置において、せん断応力がゼロになるように座標軸を回転させた時、引張・圧縮応力を主応力と呼びます。2次元だと、上の図のように主応力成分は2つ(x軸引張・y軸圧縮)ということになります。主応力図では、線の大きさが主応力の値の大きさ、方向が回転した後の座標軸の方向を示しています。

 

○変位とひずみ

変位と変形(ひずみ)を区別していない人がいるようです。簡単に表現すると、変位とは任意の点が変形前から変形後についてどれだけ移動したかの量です。よって、長さの単位によって表されます。変形(ひずみ)とは、物体の単位寸法あたりの変形の割合で、無次元の量となります。上の単純な引っ張りの場合、上端の変位はΔL、中心の変位はゼロになります。変形(ひずみ)は任意の点で2ΔLLとなります。