概要

製品の環境に与える影響を評価するとき、この製品が製造されるまでのプロセスフローを考える必要がある。図1は参考文献5)で設定されている例題に対するフローの例5)である。
←図1 プロセスツリーの例

各プロセスに対して、素材やエネルギーの投入量とプロセスからの出力量、環境負荷を記述したプロセスデータと呼ばれる基礎データが与えられる。たとえば、プロセス「発電」のプロセスデータ量は、図2のように記述される。

電力

1

アルミニウム

-0.03

crude oil

-0.5

CO2

3

solid waste

2


図2  プロセスデータ例(発電プロセス)

全ての入出力関係は、出力である電力の単位量当たりに換算して表現する。要求される出力量xが境界条件として与えられれば、このプロセスデータを全てx倍することにより、絶対量が評価できる。つまり、線形性を仮定していることになる。図1のように、複雑にネットワークが入り組んだプロセスフローに対して、境界条件を満足する全プロセス量を決定するための一般的手続きが必ずしも明確に存在するわけではないが、ここでは原田の提案する方法2)3)を採用して実現している。つまり、プロセスフローを構成する本要素をプロセス、セレクト、マテリアルに分類した上で、各要素の基本データを各々独立したファイルに準備することにより、環境負荷評価を実現することができる。

 FORTRANなどの手続き型言語と呼ばれる言語を用いて、上記の処理を一般性をもって記述することは、困難が伴う。たとえ、実現できたとしてもかなり制約の多いものであって、一般性のあるものとは言い難いであろう。この点、手続きの一般性の実現にあたり、オブジェクト指向という考え方が大きな威力を発揮する1)。ここで、提供するソフトはc++というオブジェクト指向言語で記述されている。詳細は別ページを参照されたい。